次世代も共感 “海岸ゴミ拾い”に30年

2020年6月30日 18:182020年6月30日 18:18

 富山湾の環境を守りたいと、30年以上にわたり海岸のゴミ拾いを続けた男性がいます。

 自らの暮らしを顧みず続けたライフワークも老いには勝てず引退しましたが、富山湾を世界一美しい海にしたいという思いが静かに広がりをみせています。

 「タバコね。タバコの吸殻。ひどいもんですよ。自分の車でありゴミ収集車なんですよ。30日はちょっと多いわ」(俣本さん)

 富山市の俣本浩司(またもと・こうじ)さん(82)毎週月曜日、海岸に集められたゴミをボランティアで回収するのが日課です。

 「あと何か月か何年か知れんけど、わずかしか命ないからね。仕方ない。だけど30何年間。浜がきれいになってきた喜びはあるよ。ようやってきたなって。後悔はない。自分の人生に大満足やちゃ」(俣本さん)

 富山湾を世界一きれいな海岸に。

 30年以上、ほぼ毎日、地元・浜黒崎(はまくろさき)の海岸でゴミを拾い続けてきた俣本さん。

 「これが富山湾で50日間で集まったゴミの量。異常やと思わんけ」(俣本さん)

 拾い集めたゴミは民間業者に引き渡すためすべて自宅に持ち帰っていました。

 ところが去年・・・「30何年間ゴミ屋敷にしてたやろ。最後はきれいな庭で死にたい」「こういうゴミの人生で、私みたいなダラもおらんときれいならんのかもしれん・・・」(俣本さん)

 82歳になる俣本さんはいくつもの病気を抱え体は限界に。

 30年以上続けてきたゴミ拾いを「引退」しました。

 海岸に設置されている、この箱。

 俣本さんが発明した「無人ゴミボックス」です。

 誰もが気軽にゴミが拾えるようにと、中にはゴミ袋が入っています。

 俣本さんは無人ゴミボックスで集まったゴミの回収と袋の補充を続けています。

 「誰が拾ってるか分からんが。いつ拾われたのかも分からん。気持ちのある人がきたない思って拾ってくれてる」「拘束されないボランティアだからね」(俣本さん)

 俣本さんは5年かけてこの無人ゴミボックスを富山市の岩瀬(いわせ)浜や浜黒崎をはじめ、氷見市の松田江浜(まつだえはま)などに50か所に設置、去年はあわせて14.4トンのゴミを回収しました。

 「うれしい。自分ひとりじゃ100パーセント回収が出来なかった。今は不特定多数の人がしてるから自分の出来なかったところができるように」(俣本さん)

 そして、新たに力を入れているのは、子どもたちに環境の大切さを伝えることです。

 富山湾の現状や、無人ゴミボックスの活動をまとめたパネルを富山市内の小学校で展示。

 子どもたちの反応が俣本さんの宝物になっています「俣本さんがごみを拾ってくれるおかげで富山湾はまだきれいに保てます」「俣本さんの活動を見て、富山県人である私たちが、富山湾をきれいにしなくてはならないと思いました」(児童の手紙)

 「こうやって呼んでたら今までの苦労が苦じゃなくなるんね。報われた」「書いてあることが大きくなっても忘れずにボランティアしてくれるような。富山湾をきれいにしてくれるような活動をしてくれれば」「もうしばらく元気で小学校回らんなん」(俣本さん)

 さらに無人ゴミボックスでの活動の輪を広げようと、海岸美化の団体を立ち上げました。

 目標は富山湾のゴミを90パーセント以上減らすこと、そして、自主的なゴミ拾いを後押しする無人ゴミボックスを全国に広げることです。

 「無人ゴミボックス。好きな月、好きな日、好きな時間、好きな場所で好きなだけゴミを拾おう」世界一きれいになります。

 自分でも早くそうなりたいと思っている」(俣本さん会見)

 環境維持のために私たち一人ひとりができることはなんなのか。

 俣本さんは人生を通して、それを実践しています。


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