相次ぐ豪雨災害 介護施設の避難計画は…

2020年7月10日 19:062020年7月10日 19:06

 九州を中心に記録的豪雨を観測し全国各地で大きな被害が出ています。

 そのなかでも予期せぬ突然の豪雨に高齢者ら「災害弱者」と言われる人たちをどう避難させるかが大きな問題となっています。

 富山市の特別養護老人ホーム「ソレイユ」では。

 「こちらが新型コロナ感染が万が一、当施設で発症した場合に備えての非常食関係が備蓄してあるスペースになります。入所者70人分だとすると、2週間分」(ソレイユ・山本徹雄事務長)

 新型コロナ対策に加え、豪雨などの水害に備えた避難計画のマニュアルも作成。

 1階で生活する入所者およそ20人を2階へ避難させる「垂直避難」の計画を立てています。

 「利用者は向こうで生活しているので、向こうから、こう来て(エレベーターへ)」(山本徹雄さん)

 Q.水没したらエレベーター使えなくなる可能性ありますよね?「ありますね。そのときは階段しかない」(山本徹雄さん)

 Q階段は車いすの方はどうする?「車いすの方は、車いすから降りてもらって、おんぶ。それか、前と後ろ、2人がかりで持って上げる。結構大変ですよ」(山本徹雄さん)

 今月4日に九州南部を襲った豪雨では、熊本県球磨村(くまむら)の特別養護老人ホーム「千寿園(せんじゅえん)」が水没し、入所者14人が死亡しました。

 濁流が施設を襲ったのは朝方。

 施設内には当直の職員が数人しかおらず避難が遅れたと見られています。

 「夜間は夜勤の職員が5名しかいない。人手が足りない。まずいなと思ったときは、水かさが上がる前に、職員総出で対処する。そうしないといけない」(山本徹雄さん)

 Qそれくらいしないと夜中の対応では間に合わない?「間に合わない」(山本徹雄さん)

 「健常者は自分で動ける。でも入所者は自分で動けない。必ず職員が後ろに付き添う、あるいは車いすを押して避難しないといけない」(山本徹雄さん)

 九州だけではなく今回の大雨の影響は県内でも。

 8日、神通川と庄川が「氾濫注意水位」を超え、河川敷沿いの遊歩道も水没し、川幅が堤防まで広がりました。

 「常願寺川にやってきました。水はまだ濁っていますが、川の水位はだいぶ下がっているように見えます。この常願寺川が氾濫した場合、実は、川の向こうに見える富山市街地のほとんどが水に使ってしまう可能性があるんです」(記者)

 ハザードマップでは神通川の氾濫では、河川沿いとソレイユは浸水の範囲に含まれていませんが…「一方、常願寺川。氾濫した場合はオレンジ色になっていますので、ここの地域は約50センチくらい水に浸かる位置づけに」(山本徹雄さん)

 常願寺川は神通川よりも水が広がりやすく、市の中心部まで影響することが想定されています。

 富山市の街なかに位置するソレイユも例外ではありません。

 避難計画を作成しても不安は尽きません。

 「これが1番導線を考えると、スムーズに行くのかなと思ってこういう風に作ったけど。いざ、水害にあったときに、このとおりに職員や入所者が動けるかが心配」(山本徹雄さん)

 去年、長野県を襲った台風19号。

 千曲川(ちくまがわ)の堤防が決壊し、およそ3キロ離れた長野市内の高齢者介護施設「豊野清風園」に濁流が押し寄せ、施設の1階が水没しました。

 当時、施設には278人の高齢者がいましたが、全員が無事でした。

 Q.混乱せずにどうして上の階に入所者を運べた?「年に1回水防訓練やっていますので、日ごろの訓練の成果なのか。やっていなかったらパニックになっていたのかなと」(豊野清風園・森佐知子施設長)

 高齢者の命を救ったのは「防災ルール」の徹底。

 国の水防法では来年度末までに避難計画の策定と訓練の実施を義務付けていて、この施設でも今年5月1日に訓練を実施予定でしたが…「3月末に県内(新型コロナ感染者)第一号が出た。あれから避難訓練どころじゃなかったっていうのが本心」(山本徹雄さん)

 Qコロナ対策の方に回っちゃった?「やっぱりコロナ対策が優先」(山本徹雄さん)

 特別養護老人ホームの入所者14人の命を奪った九州の豪雨災害。

 迅速な避難ができない介護施設の利用者にとっては事前の避難計画と山本さんたちのような職員の手助けが命を守る重要な手段です。

 「1階から2階。一見簡単そうに思えるけど、やってみないといろんな落とし穴があるか分からない。水害訓練は早くやらないといけないなと思っている」(山本徹雄さん)


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