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2018年03月27日(火)

※富山県内のニュースです。


 ココがキニナル 新ロープウエー構想 実現の可能性は

(2018年03月27日 17時35分)

 「立山黒部」の世界ブランド化を目指す県は、立山駅と弥陀ヶ原のあいだで新たなロープウエーの整備を検討しています。

 しかし、26日開かれた会議では、整備の許可権限を持つ環境省だけでなく、有識者などからも、県の構想に疑問の声が上がりました。

 27日のココがキニナルは、新たなロープウエー構想が、本当に可能なのかを探ります。

 26日、東京で開かれた県の会議。

 スクリーンに映し出されたのは、落差日本一の称名滝周辺をドローンで撮影した映像です。

 新たなロープウエーを整備した場合には、こうした眺めが楽しめるとして、県が制作しました。

 ところが・・・・「さっきドローンの素敵な映像を見せていただいんですけど、あれってロープウエーに乗ってる人からの視点だけなので、既存の展望地からの景色がどうなるのかも一緒に出していただくと、平等性が高まるというか」(旅館「海月」・江崎貴久女将)
「ビデオにありましたけども、称名滝の眺望をロープウェー自身が邪魔をするというような位置取り等、環境配慮について大きな問題があると考えております」(環境省国立公園課・田中良典課長)

おととしの秋以降、「立山黒部」の世界ブランド化に向けた議論を本格化させている県は、アルペンルートの冬季営業などとともに、新たなロープウェーの整備を検討しています。

 当初、県が示した案は、立山ケーブルカーの立山駅付近から称名滝の近くを経由して弥陀ヶ原につながるルートで、観光客にとっては、絶景が楽しめる魅力的な構想とも言えます。

 しかし、整備ルートの一帯は、法律によって開発が規制されている国立公園の中にあるため、環境省の許可を得なければ、工事に着手できないのです。

 「一概にいきなりだめというわけではないとは思うのですが、基本的には相当難しい、十分な検討が必要な話だというふうには思っていますけど」(環境省長野自然環境事務所・中山隆治所長)

しかも、整備ルートには、「ラムサール条約」に登録された弥陀ヶ原の湿地も含まれていて、このエリアは、国立公園の中で最も規制が厳しい「特別保護地区」に、指定されています。

 そのため、県が示した当初のルート案について、環境省は、「国が、特別保護地区などでの新規の開発を認めない方針を示した1974年以降は前例がなく、ロープウエー整備を許可するのは極めて難しい」との見解を示していました。

 さらに、今月に入って、県内の環境保護団体が県に意見書を提出。

 ロープウエーの整備ルートに、ラムサール条約の登録湿地が含まれているのは、「条約登録の条件に反しており、登録取り消しの可能性をはらんでいる」として、同じ意見書をラムサール条約の事務局にも提出する意向を示したのです。

 「ラムサール条約に登録されているが、その要件を満たさない可能性も最悪ありえるのではないかと心配している」「ラムサール条約の事務局でも関心を持たれるのではないかと思っている」(富山大学大学院理工学研究部・横畠康志教授)

そうしたなかで開かれた26日の会議。

 県は、ロープウエーの整備ルートについて、当初のルート案を修正した2つの案を提示しました。

 1つ目のルートは、立山駅から称名滝まではバスを走らせ、称名滝と大観台のあいだにだけロープウェイを整備、大観台から弥陀ヶ原は、ゴンドラリフトでつなぐというものです。

 このルート案では、ロープウエーの区間が大幅に短くなったものの、最も規制の厳しい「特別保護地区」とその周辺を通ることに変わりはないため、環境省からは、苦言が呈されました。

 「これらの地域においては、以前から申し上げております通り、ロープウェー等の新設は認められません。ゴンドラリフトでございますが、弥陀ヶ原の台上に見た目のボリュームのあるゴンドラリフトを敷設する計画で、自然植生を改変しないようにしたとしても、眺望景観の保護の観点から大きな影響が懸念されます」(環境省国立公園課・田中良典課長)

また、ほかの委員からも・・・

「弥陀ヶ原までゴンドラリフトをかけるのは果たして必要があるのかなという感じは致します。どんどん山岳観光地を便利にしていくことがいいのか」(筑波大学・吉田正人教授)

こうした意見に対し、石井知事は・・・
「人によってはね、それがある事自体が自然の景観を損なっていると思う人もひょっとしたらいるのかもしれませんが、まあそういったこともよく論議を尽くしてですね、またいろいろ許認可権限をお持ちの国のお役所もありますから、いろいろご相談をしてまいりたいと思っております」(石井知事)

そして、26日示されたもう一つの案が、立山駅と美女平の輸送手段を現在のケーブルカーからロープウエーに変更し、美女平から室堂方面は、これまで通りバスを走らせるというものです。

 これは、運行開始から64年が経つケーブルカーの代替手段としてロープウェイを整備する案で、26日の会議で、環境省が唯一、可能性を排除しませんでした。

 県が新年度に実施する基礎調査を念頭に、環境省は、「ケーブルカーを改修して使い続けるよりもロープウエーを整備した方が、環境に与える影響が小さいと証明されれば、整備の可能性はある」と応じました。

 「環境省として建設を認める可能性は極めて限定されることをご理解いただいたうえで、問題点を的確に絞り込んで、十分な検討をおこなうための必要な調査をおこなうようお願いしたいと考えております」(環境省国立公園課・田中良典課長)
ロープウエー構想に対する疑問の声が相次いだ26日の会議。


 議論を終えた石井知事は・・・

「環境省がにべもなく『不可能だ』と発言したが?」(質問)
「まあいろんな考え方があると思いますので、今すぐ答えを出す話ではない。立山黒部は一つの会社とか役所の財産ではなくて、県民や国民の財産だと思っていますから、『なるほどこれが一番妥当だな』と多くの人が納得できる方向にしていくことだと思う」(石井知事)

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